彼との思い出はいくつもあるけど、よく覚えているのは高校生クイズに一緒に出たこと。
当時はアメリカ横断ウルトラクイズや高校生クイズなどの視聴者参加型のクイズ番組が多く放送されていた時期。
ボクもそんな放送を見ながら高校生クイズに出たいなーと思うものの、なかなか踏ん切りがつかず。
そんな中、Kはいつの間にか申し込みをしていて
「来週一緒に出場することになったから」と連絡が。
即決しちゃう彼が頼もしかった。
彼は物知りだったこともあり、気が付いたら決勝に。
残念ながら全国まで行けなかったけど、いい思い出だ。
それから数年、彼とは、別々の大学に進学。それからお互いの連絡はなくなってしまった。
ボク自身、大学とバイトの掛け持ちで、朝は5時、帰るのは夜の11時くらいの毎日だったし、土日もほぼバイトだったから、目の前のことで精いっぱいだったんだと思う。
そしたら、ある日、寮に帰ってきたら電話が。
「Kが亡くなった」と。
それからのことはよく覚えてなくて、通夜・・・そして葬式。実感のない数日間が過ぎた。
そして思い出したのが彼の言葉。
「エスパニア(スぺイン)に俺は行く」。
大航海時代にあこがれていた彼は、いつしかその国に行くのが夢になっていた。
でも、死んでしまった今彼はそれを実現することができない。
たぶん、死はもともと誰のそばにもあるんだけど、それを実感することは、なかなかできない。
正直な話、祖母や祖父が亡くなった時、悲しみはあったけど、それは寿命であったし、若い自分にとっては死をイメージすることにはつながらなかった。
でも、同世代に生きる者、そして夢を持ち、夢をかなえ、明るい未来をつかみとるはずだった彼の死はボクに大きな衝撃を与えた。
「いつ死を迎えるかはわからない。だから夢をもち、そしてそのために行動しなければいけない」
それが、彼の死から感じたことだった。
そこから、自分の夢、将来について本気で考えるようになった気がする。
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